皮膚疾患2

アトピー性皮膚炎

原因と症状

生後2~3ヶ月ごろより頭、顔にはじまり、その後、肘や膝裏などに湿疹が慢性的に生じるものをいいます。

10歳以降になると落ち着いてくることも多いですが、最近は成人になってもよくならない人が増えています。

原因はまだ明らかになっていませんが、遺伝的に皮膚のバリア機能が低下していること、アレルギーを起こしやすい体質を持っていること、生活環境の中にある悪化要因(精神的、肉体的なストレス、汗やホコリなどによる刺激、食物やダニなどによるアレルギー)によって症状が慢性化すると考えられています。

アトピー性皮膚炎では、皮膚の乾燥症状がよくみられますが、それはどうしてでしょうか?

一般に、皮膚のうるおい(水分量)は主に皮膚の表面にある角質の細胞間脂質という物質によって

保たれています。

細胞間脂質は、セラミド、遊離脂肪酸、コレステロール からなります。

アトピー性皮膚炎ではセラミドが減るため皮膚が乾燥すると考えられています。

乾燥肌を放っておくと症状が悪化しますので、こまめなお手入れが大切です。

アトピー性皮膚炎の症例画像

アトピー性皮膚炎の検査

食物、ハウスダスト、ダニ、花粉、ペットなどに体する血液中のIgE RAST値や、血液中のTARC値などの測定があります。

アトピー性皮膚炎の治療法

ステロイド、免疫抑制剤(タクロリムス)、保湿剤などの外用、抗ヒスタミン薬などの内服治療があり、症状が強い場合やなかなか治まらない場合は、一時的なステロイド内服や注射、免疫抑制剤(シクロスポリン)の内服などを行うことがあります。

また、外用治療について欧米ではプロアクティブ療法という治療が有用であると報告されております。

症状が悪い時はまずはステロイド外用剤を使用して症状を落ち着かせます。

徐々に症状が改善してきたらタクロリムス外用剤を使用することでステロイド外用剤の使用を減らし、さらにその後は、タクロリムス外用剤を週に数回の外用と保湿剤の外用で症状が落ち着いた状態の維持に努めます。

日常生活の注意点

  1. 入浴の注意点
    お風呂やシャワーの温度はぬるめにしましょう。
    体を洗うときは刺激の少ない石鹸を十分に泡立てて、手でなでるように洗いましょう。
  2. 保湿剤外用の注意点
    肌の乾燥はアトピー性皮膚炎を悪化させます。
    なるべく入浴後15分以内に保湿剤を外用しましょう。
  3. 肌着の注意点
    肌着はなるべく柔らかいものを使用しましょう。
  4. 掃除の注意点
    ダニ、ほこりはアトピー性皮膚炎の悪化因子の一つです。
    掃除をこまめにしましょう。
  5. 爪を切る
    掻いたときに皮膚に傷をつけて細菌やウイルスの感染を防ぐためです。
  6. ストレスについて
    さまざまなストレスによってアトピー性皮膚炎の症状が影響を受けます。
    まずはかゆみをしっかりとコントロールしてかゆみのストレスを少なくしていきましょう。
  7. 睡眠について
    アトピー性皮膚炎に関わらず、睡眠は皮膚にとって非常に重要な因子です。
    規則正しい生活を心がけてください。
  8. 飲食について
    暴飲暴食はやめましょう。
    寝る前の2時間以内に糖分を摂るのは控えましょう。

体が温まり寝る時にかゆみが出て寝にくくなったり、寝ている時にかゆみで体を引っ掻いたりして皮膚の症状が悪くなります。
これらの注意に関して、最初は無理をせず自分のできる範囲から少しずつ始める方がよいです。

にきび

原因と症状

男性ホルモンにより皮脂の分泌が亢進、また、毛穴の出口近くの角質が厚くなって毛穴が詰まることで、毛穴の中で皮脂がたまったり、アクネ菌が増えて炎症を起こしたりして発症します。

にきびの症例画像

にきびの治療方法

早い段階での治療が大切です。

抗生剤の外用・内服やアダパレンの外用などがあります。

抗生剤の外用・内服を使用して菌の増殖による炎症を抑えたり、アダパレンの外用で毛穴の詰まりを防ぐことで、にきびが新しくできるのを抑える治療です。

にきびで大きいものや膿がたくさんたまっているものは中身を圧出した方が治りが早いです。

日常生活の注意点

  • 規則正しい生活をしましょう(ホルモンバランスを整えるため)。
  • 睡眠時間を十分にとりましょう(ホルモンバランスを整えるため)。
  • 洗顔は朝晩2回、やさしく洗って乾燥させないようにしましょう。
  • 化粧品はノンコメドジェニックテスト済みの表示のあるものを使用しましょう。

当院のニキビの治療

当院ではニキビの治療の基本は保険診療になります。
保険治療だけではなかなか改善がみられない場合は自費診療による外用薬やケミカルピーリング、レーザー治療などの治療法があります。

当院で可能な治療方法

保険診療

  • 内服薬(抗生物質、漢方薬、ビタミン剤)
  • 外用薬

自費診療

湿疹・手荒れ・かぶれ

原因と症状

手荒れは「主婦湿疹」ともいわれ、結婚、出産などで水仕事が増加したときに発生しやすいです。
また美容師さんなど職業的にも発生しやすい職種もあります。
原因としては洗剤、界面活性剤、石鹸、ゴム手袋、野菜、合成樹脂など多数あります。
それらの多くは脱脂作用、角質障害作用などをきたす(刺激性)と、アレルゲンとして作用する(アレルギー性)の2種があります。

湿疹

治療法

ステロイドや保湿剤の外用、かゆみの強い場合は抗ヒスタミン剤の内服などを使います。

手荒れの場合、毎日の水仕事など原因と接触する機会が多いため根本的治療が難しく、対症療法になることが多いです。

日常生活の注意点

  • できるだけ原因となるものと接触する機会を減らしましょう。
  • 手で洗うお湯の温度はなるべく低くしてください。
  • 水仕事をする際はゴム手袋をしてください。
    ゴム手袋の下に木綿の手袋をすることが好ましいです。
  • 寝る前に外用剤を使用し木綿の手袋をすると効果的です。
  • 皮脂がとれてしまうため洗いすぎに注意してください。
  • 手を洗う間隔を2~3時間は開けて、頻回にならないようにしてください。

脂漏性皮膚炎(ふけ・かゆみ)

原因と症状

頭部、耳周囲、顔、ワキ、ヘソ、陰部など皮脂腺の多い部分を脂漏部位(しろうぶい)といいます。

その部位で炎症を起こし、赤くなったり、かさかさしたり、かゆみを伴う症状を言います。

皮脂の分泌が盛んな時期である新生児期(~1歳)と思春期以降に多く、皮脂成分の質的な異常やマラセチアという真菌(カビ)なども発症に関係していると考えられています。

脂漏性皮膚炎の症例画像

脂漏性皮膚炎の治療方法

ステロイドや抗真菌剤の外用、ビタミンBの内服、抗ヒスタミン剤の内服、抗真菌剤を含んだシャンプーで洗髪などを行います。
思春期以降の脂漏性皮膚炎は長年にわたって症状が持続します。

なるべく副作用の少ない治療法で症状をコントロールしていくことを第1の目標にします。

日常生活の注意点

  • 体調等によって症状が悪化するため、規則正しい生活と十分な睡眠などを心がけましょう。
  • 余分な皮脂を落としたり、皮膚を清潔に保つため、ていねいに顔や頭を洗いましょう。

脱毛症

原因と症状

脱毛症には、円形で境界がはっきりした脱毛を認める円形脱毛症などがよく知られています。

原因は、遺伝や自己免疫や精神的ストレスなどが推測されていますが不明です。

また、男性に認める男性型脱毛症(AGA)もよく知られています。

脱毛症の治療法

円形脱毛症は数カ月で自然治癒する例も多いです。

ステロイドやカルプロニウムの外用、セファランチンの内服、治りにくい場合、ステロイドの局所注射をすることもあります。

急速に多数の箇所または大きな範囲で髪の毛が抜ける場合は一時的にステロイドの内服で抜け毛を抑えたりすることもあります。

男性型脱毛症(AGA)はフィナステリド(商品名プロペシア)の内服などが一般的に行われています。

フィナステリドは少なくとも半年は内服し、効果があれば継続して内服します。

脱毛症の症例画像

帯状疱疹

原因と症状

身体の左右どちらか一方に、ピリピリと刺すような痛みと、これに続いて赤い斑点と小さな水疱があらわれる病気です。

帯状に拡大する赤みと水疱の症状から「帯状疱疹」という病名がつけられました。

帯状疱疹は身体の中に潜んでいたヘルペスウイルスの一種である水痘・帯状疱疹ウイルスによっておこります。
みずぼうそうにかかったことのあるひとならば誰でも帯状疱疹になる可能性があります。

みずぼうそうが治ったあとも、ウイルスは体内の神経節に潜んでいます。

加齢やストレス、過労などが引き金になってウイルスに対する免疫力が低下すると、潜んでいたウイルスが再び活動を始め、神経を伝わって皮膚に到達し、帯状疱疹として発症します。

帯状疱疹の症例画像

帯状疱疹の治療法

抗ウイルス薬の内服などが必要です。痛みに対してはNSAIDs、プレガバリンなどが有効です。

日常生活の注意点

  • できるだけ安静にしましょう。
  • 患部を冷やさないようにしましょう。温めると痛みが減る場合が多いです。
  • すべての水疱がかさぶたになるまでは人に移りますので小さなお子さんとの接触は控えましょう。

帯状疱疹ワクチン

50歳以上の方が任意で接種していただけます。
帯状疱疹ワクチンには2種類あり、当院ではどちらのワクチンも取り扱いしております。

ワクチンは予約制となっておりますので、お電話か受付窓口でご予約ください。

※どちらのワクチンが迷われた際は、お気軽に医師にご相談ください。

料金

50歳以上生ワクチン不活化ワクチン
接種回数1回2回(2~6ヶ月の間隔)
費用8,800円(税込)2,2000円×2回(税込)
接種方法皮下注射筋肉注射
副反応アナフィラキシーショック
注射部位の痛み・赤み・痛み
発疹
倦怠感
アナフィラキシーショック
注射部位の痛み・赤み・腫れ
筋肉痛
発熱、疲労、悪寒
頭痛
胃腸症状(吐き気、下痢)
接種できない方
妊娠中・授乳中の方
免疫抑制薬を使用されている方
アレルギーを疑う症状を起こしたことのある方
アレルギーを疑う症状を起こしたことのある方